その後の
彼が亡くなって1週間経つと、このブログみたいな文章を知ってる人に読んでもらいたいと思うようになり、
海老蔵さんがたくさんブログを更新しているのを、はあ、なるほど、と思うようになり、
や、ほんとは直後からずっとずっと知ってる誰かに読んでもらいたかった、話をきいてほしかったのだけど、
整理できそうになかったから、1週間がちょうど良い時間だったのかもしれない。わたしにとって。
で、facebookに死因は伏せて、綴ってみた。
死因がいちばんショックだったことなので、そこ伏せたら意味ないかもと思ったけど、書けなかった。
誰にも知られたくない。彼の秘密だ。
自分で死を選んだ彼のことを、それを止められなかったわたしたちのことを、誰にも何も言われたくない、絶対に絶対にわたしたちにしかわからない、から、伝えないと決めた。
あと、かなしすぎることなので他人である誰にも背負わせたくなかった。
心配してくれたり、わたしの言いたいことをしっかりと汲んでくれた人からコメントやいいねをもらって、
心配してくれた人からは、会おう、心配してる、と連絡をもらい、
わたしは心配してほしくて書いたわけじゃなく、今後の人生の中で、普通に生きてたら考えないかもしれないことを考えるきっかけになれればいいなと思っていたのだけど、
ただただ、仲のいい人からしたら、ショックなできごとがあったわたしの身体やこころが心配なのだなあと思った。
俳優をやっている友人から、書いてくれてありがとう、と言ってもらった。
それが、いちばん聞きたかった。
こんなときだからこそ
友人に会いに行って、いろいろ話をする。
わたしには楽しいこともかなしいこともあったとんでもない1週間だったから、どうでもいい話をしたかった。
友人はなんだかんだ彼氏とも順調で仕事もなんとかやってて、調子が良さそうでよかった。
そして相変わらずきれいだ。
こんなときに限って、友人の知人が自害したという話とか、まおさんが亡くなった話とか、なんでするんだろう。
いつもならなんでもなくきいてるのに、聞くのが少しつらい話、なんでするんだ。
親戚の男性が自殺したということ、誰かに話したいような、隠し通したいような、どっちなんだろう。
でもたぶん人には話せない。
友人は口が軽いわけではないけど、わたしより悲しんでしまいそうなので話せないなあと思った。
わたし、彼氏ができたんだけど、彼氏にも絶対話せない。
彼氏はまだどんな人かあんまりよくわからないから。話せない。
仕事先の人になんか絶対教えてやらない。
こんなこと話せそうな人は、ひとりもいない。
死んだ人はひどい顔をしていた。
目をそらしたいくらいひどい紫色の顔で、でも眠ったように死んでた。
覚えてる顔より老けていた。
子どもの頃は優しそうな顔をしてたなあと思い出した。
初孫の長男でずいぶんとちやほやされてた。
わたしなんかよりずっとかわいがられて大切にされてた。
それがなんでこんなことになったんだろう。
髪は薄くなってた。白髪も少しあった。
父親の家系が髪薄いから、仕方ないなあと思った。
母親は白髪が全然なかったけど、やはり父親似なのかなって。そんなことを考えた。
たくさんのドライアイスで胸のあたりが変に膨らんでた。
かわいそうだ。と思った。
どんなにつらかったのかな。かわいそうだ。
死んだとき着てた服と、首をくくったロープを帰り際に渡された。
係の人が悲しそうな顔をして「見るのもお辛いでしょうが」と言った。
わたしは「何も思ってないくせにわかったような顔しないでください、わざとらしい」と思いながら、「大丈夫です」と言った。
「こちらで処分することもできます」と。
「お願いします」と。
そういうお仕事の慣れてる人なんでしょう、
わたしも葬儀屋で働いてたことあるからわかる。
みんな「引きこもりニートで自殺」なんて興味本位でわたしたちのこと見てるんだろうと思う。
母親も重い病気で他に子どももいないんだって。不幸な家だね。
なんて噂してるんだろうな。
どうか彼の遺体は大事に扱っていて欲しいと思う。
わたしにはどうにもできないけど、どうか。
葬儀は木曜日になった。
それまで1人で、誰も知らないあんなに寂しいところに置かれているのはかわいそうだ。
わたしは本当の本当の他人みたく、かわいそうだと何度も思った。
絶対絶対忘れない。
さっきのブログは消さない
消さないけど、夜中になって、その家で眠ろうとしたら、途端に彼のことを考えて複雑な気持ちになってる。
何故死んだんだろうって、考えた。
親を責めてか。親を思ってか。絶望したからか。
前日の夕飯は普通に食べていたみたいだ。
どのタイミングで、死のうと思ったんだろう。
以前から決めていたんだとは思うけど。
誕生日を選んだのは、やっぱり、自分のことしか考えずに親や周りを恨んだからなのか。
覚えていて欲しいということなのだろうか。
苦しかっただろうな。怖かっただろうな。
泣いただろうか。泣くことなんて忘れてしまっていただろうか。
わたしに何かできることがあったとは思わない。
けど。
息子の部屋に座って泣いていたお父さんの後ろ姿、たぶん一生忘れられない。
わたしはきっと一生許さない。
一生忘れない。数少ない良い思い出はこれからきっと思い出していく。
絶望の淵にいる
とある親戚の人が、
亡くなったと報せを受けて、
誕生日に自殺をしたんだと。
わたしの目の前に常にいた人ではなかったので、
全然かなしくない。
聞いてすぐはびっくりして言葉もなかったけど、今お腹がすいたのでご飯を作って食べた。
彼の両親は落胆していて、
わたしは彼をもともと「自殺をするか、親を殺すか」と、思ってたし、
だから想像ができていたことなのだけど、
だからわたしはまったくかなしくない。
あと、わたしはその人が嫌いだったから、ご両親を苦しめてひどいと思ってたから、そして20年苦しめて自殺するってまじかよ、ありがとうも何もなく死ぬのかよ、と怒ってもいて、全然かなしくないのだけど、
かなしくない自分にほんの少しびっくりしていて。
まさかここまで全然なんともないとは思わなかった。
そして自分の人生、というか周囲でいちばんの悲劇だと思うのだけど、ドラマチック、って思ってる。
わたしは祖父母のお葬式でも泣いたことがないから、少し自分が怖くなった。
彼が亡くなったこと、たぶん中高からの親友と思ってる2人くらいにしか言えない。
対人関係
仕事において幸せだなあと思うともう前しか向けなくなる。
対人関係において幸せだなあと思うと途端に嫌われないようにとか何されるのが嫌なのかとか後ろ向きになるなあ。
ずっと駆け引きとかめんどくさいね。
言いふらしたい
言いふらしたい気もするけど言いふらす意味もないし聞かれてもないこと言うのはあんまり好きじゃないから、黙っておく。
ふんわり、あれ?きみたち…というくらいに匂わせておきたい。それが理想。
たぶん、たぶん、とても仲のいい子にだけは言っておきたいのだけど、まあ自分からは言わないなという子がひとり、言ってもいいなという子がふたりほどいる。
しばらくは夢かなと思うこととか、言ってくれたことやしてくれたことがフラッシュバックしてなんだか生活に苦労しそう。
気持ちの盛り上がりがピークでなかったせいかとても落ち着いてた。
わたしの絶望的なシャイ加減はもしかして治ってきてるのかもしれない。
いや相手によるな。